風便り〜大切なあなたへ〜





少しして、私は大和から離れると、大和は優しく微笑んで、私の頭に手を乗せた。



「お前、どこか行きたいところあるか?」


「・・水族館」


「またかよ」



そう言って大和は笑った。

私は初めて水族館に行って以来、すっかり水族館が好きになってしまって、ここ三ヶ月で、7回くらいは大和に連れて行ってもらっている・・。


だって、水族館大好きなんだもん・・。

大和はもう、飽きちゃったかな・・。



「・・だめ?」



私は少し不安になって、大和を見上げた。



「あ?そんなわけねえだろ。楽しみにしてろよ」



大和は私の頭に乗せたていた手を動かして、優しく撫でながら言ってくれた。


「うん」



私は大和の言葉に嬉しくなって、笑顔で返事をした。

それと同時に、指輪もぎゅっと握った。



「他にあるか?」


「んー・・大和と一緒にいれるだけで、私は嬉しいよ?」


「欲がねえな・・じゃあ、考えとく。お前の誕生日、平日だから、次の日曜日、空けとけよ?」


「うん!」



私は笑顔で返事をした。


次の日曜日が楽しみだな・・。

私も、もうすぐ16歳になるんだね・・。


私と大和は手を繋いで、また歩き出した。



「ねえ、大和・・」


「あ?」


「・・私、大和を家族に紹介したい」



そう言って、私は大和を見上げた。

大和は少し驚いた顔をしていた。


そうだよね・・・。

今までそんなこと言ったことなかったし、大和からもそういう話は出なかった。

だけど、やっぱりちゃんと家族に、大和のこと、紹介したいよ・・。

今までは、私なんかに恋人がいるなんて、恥ずかしすぎて言えなかったけど、でももう三ヶ月も付き合ってるし、家族に大和のことちゃん知ってもらいたい。

いつになるか分からないけど、結婚の約束だってしてるんだもん・・。



「・・いいのかよ?」


「え?」


「俺、こんなだし・・紹介してもらえるなら嬉しいけど」



大和は軽く頭をかきながら、少し照れたように言った。

私は優しく微笑んだ。



「もちろんだよ、大和だから紹介したいんだよ」


「真子・・ありがとな。俺もお前のこと、家族に紹介してえけど、あいつらほとんど家にいねえからな・・」



そう言って、大和は小さく息を吐いた。





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