風便り〜大切なあなたへ〜
大和が私の家族を褒めてくれた・・。
お母さんも、結依も、大和のこと気に入ってくれてるみたいだし、よかった・・。
祐太はどう思っているのか分からないけど、嫌そうな顔もしてないし、多分、気に入ってくれてるはず・・。
「お母さん、私、部屋いくね」
「あら、そう?お茶とお菓子用意しとくから、後で取りに降りてらっしゃい」
「うん、ありがとう」
そう言って、私はお母さんに笑顔を向けた。
「守屋くん」
お母さんは大和に視線を移した。
「はい」
「真子のこと、よろしくお願いします」
そう言って、お母さんは大和に頭を下げた。
「はい。真子・・さんを、傷つけることは絶対しません」
そう言って、大和もお母さんに頭を下げた。
私はなんだか感動して、胸が熱くなって、指輪をぎゅっと握った。
「あ!お姉ちゃん泣いてる!」
結依が私の顔を覗き込んで言った。
「泣いてない」
私は笑顔でそう言ったけど、もうちょっとで涙がこぼれ落ちそうだった。
大和は私の頭に手をのせて、優しく撫でてくれた。
「いい家族だな」
「・・・っ」
私の大好きな笑顔で、大和は言った。
その一言で、私の涙は一気に溢れ出した。
「姉ちゃんを泣かせるなよ」
祐太は私の頭から大和の手を退かすと、大和を見て言った。
私は祐太に泣きながら微笑みかけた。
「祐太、嬉し涙だからいいんだよ」
「・・・あっそ」
そう言って祐太はそっぽをむいてしまったけど、無愛想にしててもやっぱり祐太は優しい。
私はそのことも嬉しくて、また涙をこぼした。
「大和っ、行こ・・っ・・」
私は大和の手を取って、部屋まで案内した。
「おい!姉ちゃんに変なことすんなよ!」
階段を登っている途中、下から祐太が叫んだ。
大和は足を止めて、祐太を見た。
「おう、任しとけ」
そう祐太に言った後、大和は私にだけ聞こえるように私の耳元で囁いた。
「いっぱい愛してやる」
「・・・」
耳元で囁かれて、私は顔が熱くなって、鼓動が早くなった。
大和を見ると、意地悪に微笑んでいた。