風便り〜大切なあなたへ〜
あれから、三日が過ぎて、私の誕生日が来た。
私も今日で16歳か・・。
なんだか、あんまり実感湧かないな・・。
私が家を出ようとしたら、玄関のチャイムが家中に響いた。
・・誰かな?
私は玄関のドアを開けた。
「・・おう」
「大和?・・・お、おはよう」
玄関のドアを開けると、そのには大和が恥ずかしそうに立っていた。
・・・なんで?
大和は、毎日、私を迎えに来てくれてるけど、今まで呼び鈴を押すことなんてなかったのに・・。
いつもは玄関を開けると、大和が呼び鈴を押そうか迷ってるところで、結局、一回も押されたことなんてなかった。
「行くぞ」
そう言って大和は、私の手を取って、歩き出した。
「う、うん・・」
つられて私も歩き出した。
大和を見ると、いつもと何も変わりないようだった。
今日は、どうしてチャイム鳴らしたのかな・・?
「真子、誕生日おめでとう」
そう言って大和は、私に笑顔を向けた。
私は嬉しくなって、頬を緩めて、指輪をぎゅっと握った。
「ありがとう・・ねえ、どうして今日はチャイム鳴らしたの?」
「・・早くお前に、おめでとうって言いたかったから」
大和は前を向いたまま言った。
私を見て言ってくれないんだ・・と思って、少しシュンとしながら大和を見ると、大和の耳は赤くなっていた。
私は大和の顔を覗き込んだ。
「見んなよ・・」
そう言った大和の顔は、真っ赤に染まっていた。
今のどこに赤くなる要素があったのか、私には分からなかったけど、大和がすごく可愛く見えた。
「大和・・可愛い」
「うるせえよ」
そう言って大和は、私の髪をクシャクシャと撫でた。
私はまた嬉しくなって、髪を直しながら、大和を見上げた。
大和、ありがとう。
大和におめでとうって言ってもらえて、すごく嬉しいよ・・。
家族とか、友達の、おめでとうとは違う。
大和に言われると、すごく特別に感じるよ・・。