風便り〜大切なあなたへ〜
胸元に"入学おめでとう"と書かれた造花を付け、小さな緊張を噛み締めた。
一年三組。
小林真子。
今日から、新しい生活が始まる。
担任の先生の紹介と、一人一人呼ばれる名前。
校長先生の長い話で、本当にこの高校に入学したんだと、実感した。
入学式が終わり、教室に移動して、黒板に書かれた席に座った。
今日からここが、私の席なんだ・・・。
この机で、私、勉強するんだね。
私の席は、窓際の一番後ろだった。
窓の外を見ると、満開の桜が綺麗な並木道に、どこまでも広がる青い空が、素敵だと感じた。
隣を見ると、空いている席がひとつ。
この席の人、入学式に来なかったのかな?
そう思いながら、先生の挨拶を聞いた。
担任の先生は、小野拓也。
25歳。
笑顔が爽やかな、明るい先生。
担任を、任せてもらえたのは、私たちのクラスが初めてらしい。
「今日は来ていないが、このクラスでは、一つ上の学年で留年した生徒と、一緒に勉強してもらうからな!みんな仲良くしてやってくれ!」
教室中がざわついた。
年上の人と勉強するなんて、そんなの、思ってもみなかった。
隣の席の人がそうなのかな?
どんな人なんだろう?
・・不良だったら、嫌だな。