風便り〜大切なあなたへ〜





入学して、数日がたった。

勉強は難しいけど、友達もできたし、それなりに充実した学校生活を送っている。


隣の席の男子は、入学式から、まだ顔を出していない。

新学期が始まってから、何日かたったのに、来ないのは、もう学校に来る気がないんじゃないかな?

そのうち、すぐに辞めてしまいそうな気がする。

一応、先生に彼のことを聞いてみた。

名前は、守屋大和。

思った通り、素行が悪くて留年したらしい。

私としては、そんな怖い人が隣の席にいるなんて、嫌だから、来てくれなくて安心している。



「真子ちゃん、いつも隣の席、見てるよね?」



高校に入って、始めてできた友達の、風香ちゃんが卵焼きをつつきながら言った。



「え?見てるかな?」


「見てる、見てる!」



気づかなかった・・・。

そんなに私、隣の席見てたんだ。



「守屋くんと、知り合いなの?」


「ううん、全然知らない」


「そう、よかった!先輩から聞いた話なんだけどね?」



風香ちゃんは、入学してすぐにサッカー部のマネージャーになった。

隣のクラスにいる、幼なじみの子が好きで、何か役に立ちたくて入ったらしい。





< 3 / 273 >

この作品をシェア

pagetop