風便り〜大切なあなたへ〜
「・・ねえ、どうして学校に来ないの?」
聞いていいのかわからなかったけど、気になっていたから、聞いてしまった。
守屋くん、怒るかな?
こういうことって、あんまり干渉してほしくないかな?
「お前には、関係ねえだろ」
案の定、守屋くんは、不機嫌な声になった。
「・・・机がね、守屋くんの机が、淋しそうなの」
「は?・・机?」
「うん、いつも淋しそうに、そこにあるの」
「・・やっぱお前、変わってんな」
そう言って、守屋くんは少し笑った。
とても印象的な笑顔だった。
きっと、部活で怪我するまでは、こうやって笑ってたんだなーって、そんな風に思った。
風が吹いて、小さなタンポポが、小さく揺れた。
遠くからは、電車の音や、甲高い子供の笑い声が聞こえてくる。
あんなことされたけど、守屋くんといて、とても居心地がいいと思った。
守屋くんが学校に来たら、きっとみんな、守屋くんがどういう人なのか、ちゃんと見てくれる。
守屋くんと会う前の、私のように、みんな誤解してると思ったら、ちょっと悲しくなった。
ただの怖い人じゃない。
口元の傷は気になるけど、ただの悪い人なんかじゃない。
そう思った。