課長の瞳で凍死します ~旅支度編~
もしかして、朝ですか?
「起きろ、沢田。
何時だと思ってる」
腕を組んで威圧的に自分を見下ろす雅喜のシルエットがベッドの横に見えた。
真湖は眠い目をこすり、上体を起こして言った。
「おはようございます、課長。
もしかして、朝ですか?」
カーテンの開いた窓を背に立つ雅喜は、もしかしてって、なんだ? という顔をする。
「さっき、一度出勤したのに、何故、またしなければならないんですか?」
「それはお前、夢だろう……」
おかしい。
夢の中で、すでに一度、着替えて、支度して、出かけたはずなのに。
なんかどっと疲れるな、と思っていると、雅喜がぽんぽんと頭を叩いて、
「まあ、あと二日頑張れ。
週末は伊勢に行くんだろ?」
と言ってくる。
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