嘘つきの世界で、たったひとつの希望。
「疲れるかなって」

「疲れる……?」

「……うん。
だってさ、常に自分に真っ直ぐでいるって大変じゃん。
他の人は嘘をつく事で何かから逃げられるけれどキミはそれが出来ないから」

「……そんな風に言われたの初めてだ……」


キミは『ははっ』と笑うと何も喋らなくなってしまう。
でも、キミが震えているのは分かるから。
私はその体を抱きしめ続けた。


「キミは頑張ってきたよ……1人でずっと。
……そんなキミを同情なんかで片付けられる訳ないじゃん」


同情なんかしない。
する訳がない。


「和葉……」

「よく頑張ったね」


キミの頭を撫でれば小刻みに震えていく体。


「やっぱり……アンタに……会えて……良かった……」


にっと笑うキミがあまりにも綺麗で。
喋る事も忘れてキミを見つめた。

好きで、大好きで。
大切な親友。

これからもずっと。

私と出逢ってくれてありがとう。


「私もだよ……」


抱きしめ合いながら2人で笑い合う。

キミと2人でただ。
こうして一緒にいられたらそれでいいんだ。
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