嘘つきの世界で、たったひとつの希望。
「あっ……」

「あっ!!」


2人で同時に声を上げる。
ドンとお腹にくる様な音がしたと思ったら。
空には色とりどりの花が咲いたんだ。

気が付けば辺りは薄暗くなっていて。
その花を際立たせていた。


「花火……」

「うん。
これを見せたくて」

「え?」

「誕生日おめでとう」


いつだったか、キミと何となく誕生日の話をした。
それを覚えていてくれたなんて。
自分ですら今日が誕生日だと言う事を忘れていたのに。


「ありがとう……!」

「何をすればいいかなんて分からなくて……。
俺が好きなモノにしちゃったけど……」

「凄く……嬉しい!!」

「ん、良かった。それとこれも」


渡されたのは小さな白い箱。
水色のリボンが付けられていて可愛らしいモノだった。


「えっと……」

「プレゼント、開けてみて」

「う……うん……」


促されていそいそとリボンを外す。
パカリと小さな音を立てて開いた箱。
その中にはシルバーのハートをかたどったネックレスが入っていた。
ハートの割れ目の部分にはブルーの石が服飾されていて凄く可愛かった。


「可愛い……!」

「アンタの笑顔の方が可愛いけどね」

「なっ……」


クスリと笑うキミ。
私の手から箱を奪うとネックレスを手に取った。


「俺が付けてあげる」

「う……うん」


髪を掻き上げて後ろを向く。
そうすればキミはネックレスを付けてくれる。
まるで、後ろから抱きしめられている様な感覚になって頬に熱が帯びていく。


「ん、出来た」

「あ、ありがとう」


恥ずかしくてキミが見れない。
俯きながら言えば、ハァっと深くタメ息を吐かれた。


「可愛い顔を1人占めしないでよ」


他の人が言うと鳥肌モノなのに。
キミが言うと恥ずかしい。


「ばかっ……」

「照れてる、顔真っ赤」


クスクスと笑うキミが少し憎らしくて軽く睨む。
でもすぐに一緒になって笑っていた。
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