嘘つきの世界で、たったひとつの希望。
時間が流れるのは早いもので。
今日はテスト最終日だ。

結果は分からないけれど、まずまずの出来だろう。
これもまた正輝がくれたノートのお蔭だ。
前回同様に正輝がテスト範囲を纏めたモノを私にくれたんだ。
現代文と古典以外は。
そのお返しに私も現代文と古典の纏めたモノを正輝にあげたんだけど。


「じゃあ、テスト始めるぞ!!」


テスト監督の先生が来て皆は慌てた様に教科書を閉まっていた。
私も勉強道具をしまって準備をする。

これで最後の教科だ。
でも何で最後が苦手な英語なんだろうか。

タメ息を吐きながらも集中をしようと頬を叩く。

まあ、これが終わったら海に行けるんだ。
いつ行くかは決めていないけど、それを糧に頑張ろう。

テスト用紙が配られて、先生の合図とともに皆は一斉にシャーペンを動かした。
カリカリと音が響く中で私も皆に続く。

ざっと問題に目を通した瞬間に私の顔に笑顔が浮かんだ。

これも、あれも、それも……。
正輝がヤマを張った部分で、完璧にした所だった。

流石、正輝。

やっぱり凄いなキミは。
改めてキミの凄さを実感をする。

と、早くやらないと。
分かっていても時間が足りなくて終わらなかったら間抜けだよ。

いそいそと、シャーペンを動かしていく。

正輝に教えて貰う前までは半分も埋まらなかったのに。
今は当たっているか当たっていないかは別として。
全部埋められる様になったんだ。

それに。
少し英語が面白いと思えるようになったのもキミのお蔭だ。

本当に正輝には感謝をしてもしきれない。
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