嘘つきの世界で、たったひとつの希望。
結局、正輝を説得する事が出来ないまま月曜日を迎えてしまった。
連絡も取れないし、朝だって。
いつもは家の前で待ち合わせて一緒に行くのに。
今日はもう既に行ってしまったみたいだ。

どうして1人で闘うの?

キミが私を守りたいと思ってくれているのと同じ様に。
私だってキミを守りたいって思っているのに。


「……」


1人で歩く学校までの道。

数か月前までは当たり前だったのに。
凄く寂しく感じるんだ。

キミと一緒にいる事が当たり前になりすぎていて。
本当に、キミなしでは生きられないんじゃないか。
そう思うほどに胸が苦しかった。

首元を見ればハート型のネックレスが目に映る。
キミがくれた私の宝物。
鮮やかなブルーの石も今は霞んで見えてしまう。
それくらい私の心は曇っていたんだ。


「やっぱり……正輝と一緒にいたいよ……」


誰に何を言われたって、そんな事は関係ない。
私がキミと一緒にいたい。
ただそれで、それだけでいいから。

ネックレスを握りしめて。
1人で力強く頷いた。

正輝の気持ちは嬉しいけれど。
私は守られているだけなんて嫌だから。

正々堂々と胸を張ってキミの隣に立ちたい。

そうじゃなかったら。
キミと出逢う前と何ひとつ変わってないじゃない。

自分の気持ちに嘘をついて、逃げ出して。
隠れ続けていた頃と何も成長が出来ていないって事。

そんなの嫌だよ。

私はキミに沢山の事を教えて貰った。

その全部をなかった事になんて出来ないよ。

そう思ったら走り出していた。

真っ直ぐ、学校へと。

守られてばかりじゃ嫌だ。
私も正輝を守りたいんだ。
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