嘘つきの世界で、たったひとつの希望。
「私は……今までずっと……人に合わせて生きてきた。
笑いたくもないのにヘラヘラと笑顔浮かべて周りから浮かない様に必死に生きてきたつもりだった」


力なく笑いながら言えば、皆はヒソヒソと話していた。
ご丁寧に私を見ながら。
それじゃあ私の悪口を言っていると丸分かりだ。
タメ息が出そうになるが我慢をして言葉を続ける。


「だけど……。
そんな事をしても意味がないって気付いたから。
偽りだらけの友情なんて私はいらない!!
私が欲しいのは……本物の友情だから……」


チラリとキミを見れば何かに気が付いた様に私を見ていた。


「意味分からねぇ事を言ってんじゃねぇぞ!!」


近くにいた男子が私の体を突き飛ばした。
ガタンと激しい音と共に机に突っ込んでいく。


「きゃー!!」

「ちょっとやり過ぎ!!」


女子や一部の男子が慌てている声が聞こえてきた。

少し痛みが走るけれど。
大した事はなかった。

立ち上がろうとすれば誰かの手が真っ直ぐに私に伸びていた。

見上げれば呆れた顔の正輝がいた。


「ったく、アンタには敵わないよ」

「……なにそれ……」

「これ以上放って置くと危ない事をしそうだから。
……俺の隣にいてよ、ちゃんと」


そう言って笑ったキミ。
それが嬉しくて力強く差し出された手を掴んだ。
それと同時に引き上げられる私の体。
バランスを崩して彼の体に寄り掛かってしまうが、そんな私を受け止めてくれた。
キミはクラスを見渡して口を開く。


「この子に手を出したらただじゃおかないから」


肩に回された手が。
真剣な目が。

私の鼓動を高鳴らせた。
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