嘘つきの世界で、たったひとつの希望。
「何だよ格好付けやがって!!」


男が正輝の胸ぐらに掴みかかるけれど。
キミは私の肩を抱いたまま抵抗をしようとしなかった。


「別に格好付けた訳じゃない。
和葉は俺が守るよ、どんな事をしてでもね」


余裕な笑みを浮かべる正輝に対して。
男は額に汗をかいていた。

多分、正輝の顔を見たからだ。
笑顔を浮かべていたけれど目は笑っていない。


「和葉、行こう」

「授業は?」

「受けたい気分じゃないんだ」

「ん、了解」


キミに肩を押されて一緒に教室を出る。

静かな廊下を2人で歩けば。
足音だけが響いていた。
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