嘘つきの世界で、たったひとつの希望。
連れて来られたのは体育館裏。

壁を背にして立つ私の前に5人が並んでいた。


「なに?」


こんな所に呼び出したのだから仲良くお喋りという雰囲気ではないだろう。
警戒心を持ちながら男たちを睨みつける。
そうすれば男たちは笑いながら両手を上げた。
“降参のポーズ”だ。


「別に何もしないからそう睨むなって」

「話があるだけだ」


怪しかったけれどとりあえず頷く。
そうしないと話が前に進まないもの。


「話って?」

「俺たちにつかないか?」

「は?」


いきなりの勧誘に私は首を傾げた。
意味が分からない。
何でこんな話を……。
よく分からず黙っていれば男の1人が私に近付いてくる。


「俺たちは女に手を上げる趣味はねぇ。
でもお前が一ノ瀬についている限り俺たちの敵だ。
敵には容赦しない、例え女だろうがな」


ぎゅっと私の腕を掴む男。
あまりにも強い力だった為、顔が歪んでいく。

ギシッと骨が軋む音が聞こえてくる様な感じがした。


「言えよ、仲間になるって」

「そうすれば楽になるぞ」


私に近寄ってくる男たち。
何かこの状況を打破する方法はないか。
必死に頭を働かせるが何も思い付かない。
……こうなったら。
私は意を決して男たちの顔を見渡した。
心の声を聞けば何かが分かるかもしれない。
頼みの綱を厄介なこの力に賭けたんだ。
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