嘘つきの世界で、たったひとつの希望。
「何でもない!あっ、そうだ!」
私は大袈裟に声を上げて正輝から視線を逸らした。
鞄の中を漁っていればいきなり背中に温もりを感じた。
「嘘……つかないで……。
何でもなくなんかないでしょ……」
「正輝……」
キミの声が耳元で囁かれた。
キミに嘘なんか通じなくて。
いとも簡単に見破られてしまう。
本当ならすぐにでもさっき思った事を口に出した方がいいんだろうけど。
どうしても口が動かなかった。
キミが私をどう思っているかなんて聞ける訳がない。
嫌いじゃない、それだけで十分だった。
正輝の傍にいられるのならそれで良かった。
なのに。
今は……。
それだけじゃ満足が出来ないんだ。
友達や親友という言葉だけではもう我慢が出来ない。
だから。
何も言わないで。
「ねえ和葉……」
「正輝!」
「え?」
キミの言葉を遮る様に名前を呼ぶ。
驚いた声を背中で感じながら正輝の腕の中で体の向きを変えた。
「お誕生日おめでとう!」
「えっ……」
そう言って鞄から取り出した小さな箱を正輝に差し出す。
白い箱にブルーのリボン。
花火の光が白い箱をぼんやりと浮かびあげていた。
「11月3日。
正輝が生まれた特別な日でしょ?
1番におめでとうを言いたかったんだ」
にっと笑いながら箱を見つめる。
正輝は固まったまま私と同じ様に箱を見ていた。
「……覚えてたんだ」
「当たり前じゃん!」
絞り出す様な声が落とされた。
でも、視線や体は動かない。
いつまでも固まっているキミが可笑しくて。
『受け取ってくれないの?』と冗談交じりに言えばハッとした様におずおずと手を動かしていた。
私は大袈裟に声を上げて正輝から視線を逸らした。
鞄の中を漁っていればいきなり背中に温もりを感じた。
「嘘……つかないで……。
何でもなくなんかないでしょ……」
「正輝……」
キミの声が耳元で囁かれた。
キミに嘘なんか通じなくて。
いとも簡単に見破られてしまう。
本当ならすぐにでもさっき思った事を口に出した方がいいんだろうけど。
どうしても口が動かなかった。
キミが私をどう思っているかなんて聞ける訳がない。
嫌いじゃない、それだけで十分だった。
正輝の傍にいられるのならそれで良かった。
なのに。
今は……。
それだけじゃ満足が出来ないんだ。
友達や親友という言葉だけではもう我慢が出来ない。
だから。
何も言わないで。
「ねえ和葉……」
「正輝!」
「え?」
キミの言葉を遮る様に名前を呼ぶ。
驚いた声を背中で感じながら正輝の腕の中で体の向きを変えた。
「お誕生日おめでとう!」
「えっ……」
そう言って鞄から取り出した小さな箱を正輝に差し出す。
白い箱にブルーのリボン。
花火の光が白い箱をぼんやりと浮かびあげていた。
「11月3日。
正輝が生まれた特別な日でしょ?
1番におめでとうを言いたかったんだ」
にっと笑いながら箱を見つめる。
正輝は固まったまま私と同じ様に箱を見ていた。
「……覚えてたんだ」
「当たり前じゃん!」
絞り出す様な声が落とされた。
でも、視線や体は動かない。
いつまでも固まっているキミが可笑しくて。
『受け取ってくれないの?』と冗談交じりに言えばハッとした様におずおずと手を動かしていた。