嘘つきの世界で、たったひとつの希望。
吹き付ける風が冷たいはずなのに。
コートも着ないで学校へと向かった。
寒いなんて感覚すら私にはなくて。
ただ重たい足を無理やり動かして学校へと向かう。
誰1人、道を歩いている人はいないのに。
頭の中には誰かの声が響いていた。
そんな声を聞き流しながらひたすら足を動かした。
やっと辿り着いた学校。
教室に向かう途中、他のクラスの前を通る度に誰かの声が頭に入ってくる。
「(だりぃ~ってかあの先生……授業下手すぎっ……)」
「(早く放課にならないかなー)」
沢山の声が響き渡っていたけれど。
それでも足を止める事はなかった。
どうだっていい。
もう何が聞こえてきたって驚く事なんかないんだから。
「……」
自分の教室の後ろの扉の前で一瞬だけ立ち止まる。
でも、すぐに手を動かし扉を開けた。
ガラリと音が響き渡り、皆の視線が一気にこっちに突き刺さった。
でも顔を逸らしながら歩き出す。
「白石!遅刻だぞ!」
「……すみません」
運悪く担任の授業中だったみたいだ。
黒板の前に立ちながら怒鳴り声を上げる佐藤先生。
決して、そっちを見る事はなかったのに。
頭には当たり前の様に声が響いてきた。
「(ったく、サボりの次は遅刻か。
……いい加減にしろよっ……まあアイツは頭がいいから強くは言わないが……)」
それを皮切りに沢山の声が一気に襲いかかってくる。
「(白石の奴何かおかしい……いつもと違う)」
「(ってか遅刻して堂々と入ってくんなっつーの)」
「(クマやばいっ……夜更かしで遅刻とかダサッ!!)」
自分の席に着くまでに何人の人の声を聞いただろうか。
それでも、何も感じない。
寧ろ申し訳なかった。
勝手に心の声を盗み聞きしてしまって。
その罪悪感から無意識に唇を噛みしめてしまう。
コートも着ないで学校へと向かった。
寒いなんて感覚すら私にはなくて。
ただ重たい足を無理やり動かして学校へと向かう。
誰1人、道を歩いている人はいないのに。
頭の中には誰かの声が響いていた。
そんな声を聞き流しながらひたすら足を動かした。
やっと辿り着いた学校。
教室に向かう途中、他のクラスの前を通る度に誰かの声が頭に入ってくる。
「(だりぃ~ってかあの先生……授業下手すぎっ……)」
「(早く放課にならないかなー)」
沢山の声が響き渡っていたけれど。
それでも足を止める事はなかった。
どうだっていい。
もう何が聞こえてきたって驚く事なんかないんだから。
「……」
自分の教室の後ろの扉の前で一瞬だけ立ち止まる。
でも、すぐに手を動かし扉を開けた。
ガラリと音が響き渡り、皆の視線が一気にこっちに突き刺さった。
でも顔を逸らしながら歩き出す。
「白石!遅刻だぞ!」
「……すみません」
運悪く担任の授業中だったみたいだ。
黒板の前に立ちながら怒鳴り声を上げる佐藤先生。
決して、そっちを見る事はなかったのに。
頭には当たり前の様に声が響いてきた。
「(ったく、サボりの次は遅刻か。
……いい加減にしろよっ……まあアイツは頭がいいから強くは言わないが……)」
それを皮切りに沢山の声が一気に襲いかかってくる。
「(白石の奴何かおかしい……いつもと違う)」
「(ってか遅刻して堂々と入ってくんなっつーの)」
「(クマやばいっ……夜更かしで遅刻とかダサッ!!)」
自分の席に着くまでに何人の人の声を聞いただろうか。
それでも、何も感じない。
寧ろ申し訳なかった。
勝手に心の声を盗み聞きしてしまって。
その罪悪感から無意識に唇を噛みしめてしまう。