嘘つきの世界で、たったひとつの希望。
「君はさっき誰からも必要されてないって言ったけど。
……俺は和葉ちゃんを必要としているよ」
「え……」
「誰からも愛されなかった俺だから君の気持ちが分かる。
ただ愛して欲しかっただけなのにね。
特別な事なんて何もいらない。自分を見てくれるだけでよかった」
お兄さんの言葉に胸がトクンと高鳴った。
それは心当たりがある証拠だった。
人の心の声が聞こえる私にとって、愛されるという事がどれだけ大変な事なのかはよく知っている。
パッと見は仲良さそうに、愛されている様に見えても。
心の中は全く反対で。
本当に愛されている人なんてこの世にいるのかなって、疑問に思うくらいだ。
そんな偽りの愛じゃなくて、口先だけのモノじゃなくて。
本物の愛が欲しかった。
ただ私を必要として欲しかった。
それだけなの。
お兄さんは私の心の揺らぎを見抜いた様にクスリと笑みを零した。
愛おしそうに私の頬を撫でるお兄さん。
まるで本当に愛されているんだって錯覚をしそうになる位だ。
「正輝には絶対に君の全てを理解出来ない。
アイツは沢山の愛情を知っているから。
愛される事が普通になっているから。
でも……俺は違う。
俺は君を理解出来るよ。だって俺も愛に飢えているから」
耳元で囁かれた瞬間、私の体はピクリと反応をした。
今すぐに抵抗したいのに、離れなければいけないのに。
何故か体が動かないんだ。
「俺なら君に、君だけに沢山の愛情をあげられる。
だから和葉ちゃんも俺を愛して?
正輝じゃなくて俺を必要として?
そうすれば俺も君も幸せになれるから」
未だ私の頬を這う様に動く手のひら。
それは怪しげな笑みとは違って、凄く優しかったんだ。
「私は……」
愛されたい。
何も考えたくない。
ただ必要とされたい。
心の声が聞こえるとか、そんなこと関係なく1人の人間として生きたいんだ。
「一緒に幸せになろう。今までの分まで……」
お兄さんの妖艶な笑みが私に向けられる。
早く目を逸らせばいいのにそれが出来ないんだ。
だって。
「(俺を愛してくれよ……1人にしないで……)」
お兄さんの心の声が私の胸に突き刺さったから。
……俺は和葉ちゃんを必要としているよ」
「え……」
「誰からも愛されなかった俺だから君の気持ちが分かる。
ただ愛して欲しかっただけなのにね。
特別な事なんて何もいらない。自分を見てくれるだけでよかった」
お兄さんの言葉に胸がトクンと高鳴った。
それは心当たりがある証拠だった。
人の心の声が聞こえる私にとって、愛されるという事がどれだけ大変な事なのかはよく知っている。
パッと見は仲良さそうに、愛されている様に見えても。
心の中は全く反対で。
本当に愛されている人なんてこの世にいるのかなって、疑問に思うくらいだ。
そんな偽りの愛じゃなくて、口先だけのモノじゃなくて。
本物の愛が欲しかった。
ただ私を必要として欲しかった。
それだけなの。
お兄さんは私の心の揺らぎを見抜いた様にクスリと笑みを零した。
愛おしそうに私の頬を撫でるお兄さん。
まるで本当に愛されているんだって錯覚をしそうになる位だ。
「正輝には絶対に君の全てを理解出来ない。
アイツは沢山の愛情を知っているから。
愛される事が普通になっているから。
でも……俺は違う。
俺は君を理解出来るよ。だって俺も愛に飢えているから」
耳元で囁かれた瞬間、私の体はピクリと反応をした。
今すぐに抵抗したいのに、離れなければいけないのに。
何故か体が動かないんだ。
「俺なら君に、君だけに沢山の愛情をあげられる。
だから和葉ちゃんも俺を愛して?
正輝じゃなくて俺を必要として?
そうすれば俺も君も幸せになれるから」
未だ私の頬を這う様に動く手のひら。
それは怪しげな笑みとは違って、凄く優しかったんだ。
「私は……」
愛されたい。
何も考えたくない。
ただ必要とされたい。
心の声が聞こえるとか、そんなこと関係なく1人の人間として生きたいんだ。
「一緒に幸せになろう。今までの分まで……」
お兄さんの妖艶な笑みが私に向けられる。
早く目を逸らせばいいのにそれが出来ないんだ。
だって。
「(俺を愛してくれよ……1人にしないで……)」
お兄さんの心の声が私の胸に突き刺さったから。