嘘つきの世界で、たったひとつの希望。
そんな私でも、キミの事が大切だから。

守りたいって思ったから。

キミを傷付けても、苦しめても。

正輝を守ろうって決めたんだ。


それでも。
結局、助けられたのは、守られたのは。
いつだって私の方だった。


『やめなよ』


もう2度と感じる事が出来ないと思っていた温もりも。


『死なないでっ……和葉……』


キミの溢れんばかりの優しさも。


『じゃあ、一緒に死ぬ?』


信じられないくらいの真っ直ぐで綺麗な心も。

いつだって私を助けてくれるんだ。


キミとの何気ない会話。
ドキドキする様な悪戯。
大嫌いな勉強。

2人で歩いた道。
手のひらの温もり。
私たちだけの屋上。

私とキミを照らす花火。
幸せな誕生日。
初めてのお泊り。
初めてのキス。

そして。
2人を繋いだこの海。


この世界には。
私とキミが出逢ってからの沢山の思い出がある。

嘘つきで、醜くて、大嫌いな世界だけど。

私にとってはキミと出逢った大切な場所だ。
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