嘘つきの世界で、たったひとつの希望。
「和葉ちゃんって正輝に似ているね」
「え?」
「自分に真っ直ぐで、凄く格好良いよ」
先生の言葉に私は目を見開いた。
だって、今までの私には、真っ直ぐなんて言葉はお世辞でも言えないくらいだった。
いつも何かから逃げ出していた。
自分の気持ちからも、他の人の気持ちからも。
誰かに合わせる事が楽で、浮かなければそれで良くて。
自分の意思なんて私には存在をしていないのと同然だったのに。
先生はそんな私の事を、真っ直ぐだと言ってくれた。
それが嬉しくない訳がない。
「……ありがとうござい……ますっ……。
みんな……正輝のお蔭です……!」
言葉に詰まりながらも最後まで言い切って笑顔を浮かべる。
先生も笑うと立ち上がって私のすぐ隣へと座った。
驚いていれば先生はグイッと私の肩を引き寄せる。
「あ、あのっ……」
戸惑う私をよそに先生は、そのまま唇を耳へと寄せた。
「和葉ちゃんって正輝クンの事好きでしょ?」
怪しい声が私の耳元で囁かれる。
先生は疑問形で聞いていたけれど、どこか確信満ちていた言葉。
それが少し可笑しくて小さく笑った。
「……はい、大好きです」
にっと笑えば、先生はすぐに優しい笑顔に戻る。
それでも肩から手を離す事はなかった。
「正輝クンには伝えないのか?」
「……今はそのつもりはありません。
だって……正輝と私は同士みたいなものだから……」
嘘がつけないキミと、人の心の声が聞こえる私。
全然違うけれど、同じようなモノ。
今の、キミと私の距離が好きだから。
親友であり、同士であるキミ。
いつも隣にいて、手と手が触れ合うくらいに近いのに。
キミの全てには触れる事は出来ない。
そんな距離が今は心地良いから。
なんて、言い訳をたくさん並べたけれど。
本当は怖いんだ。
キミの気持ちを知るのが。
「え?」
「自分に真っ直ぐで、凄く格好良いよ」
先生の言葉に私は目を見開いた。
だって、今までの私には、真っ直ぐなんて言葉はお世辞でも言えないくらいだった。
いつも何かから逃げ出していた。
自分の気持ちからも、他の人の気持ちからも。
誰かに合わせる事が楽で、浮かなければそれで良くて。
自分の意思なんて私には存在をしていないのと同然だったのに。
先生はそんな私の事を、真っ直ぐだと言ってくれた。
それが嬉しくない訳がない。
「……ありがとうござい……ますっ……。
みんな……正輝のお蔭です……!」
言葉に詰まりながらも最後まで言い切って笑顔を浮かべる。
先生も笑うと立ち上がって私のすぐ隣へと座った。
驚いていれば先生はグイッと私の肩を引き寄せる。
「あ、あのっ……」
戸惑う私をよそに先生は、そのまま唇を耳へと寄せた。
「和葉ちゃんって正輝クンの事好きでしょ?」
怪しい声が私の耳元で囁かれる。
先生は疑問形で聞いていたけれど、どこか確信満ちていた言葉。
それが少し可笑しくて小さく笑った。
「……はい、大好きです」
にっと笑えば、先生はすぐに優しい笑顔に戻る。
それでも肩から手を離す事はなかった。
「正輝クンには伝えないのか?」
「……今はそのつもりはありません。
だって……正輝と私は同士みたいなものだから……」
嘘がつけないキミと、人の心の声が聞こえる私。
全然違うけれど、同じようなモノ。
今の、キミと私の距離が好きだから。
親友であり、同士であるキミ。
いつも隣にいて、手と手が触れ合うくらいに近いのに。
キミの全てには触れる事は出来ない。
そんな距離が今は心地良いから。
なんて、言い訳をたくさん並べたけれど。
本当は怖いんだ。
キミの気持ちを知るのが。