嘘つきの世界で、たったひとつの希望。
「あー……そろそろ学校に行く?」


照れ隠しで言えば、キミは呆れた様にタメ息を吐いた。


「アンタ馬鹿?
今日は始業式、もうとっくに終わってる」

「え!?」


時計を見れば12時を回ろうとしていた頃だった。


「ってか5時間掛かるんだから、ここに来た時点で無理でしょ」

「そ、そうだけど!
クラスとか確認しなきゃ……」

「どうだっていいよ」


正輝は興味なさそうに言うけど。
私にとっては大問題だった。


「だって、正輝と同じクラスかどうか知りたいじゃん!」

「……なりたいの?」

「当たり前でしょ!」


そう言えばキミは満足そうに笑って目を閉じた。
その笑みに含みがあるような気がするのは私だけ?
そう思っていればキミは小さく口を動かした。


「アンタと俺は同じクラスだよ」

「え?何で知ってるの!?」

「何でって……」


正輝は唇の両端をクイッとあげるとパチリと目を開けた。


「俺が先生に頼んだから」

「あのねー頼んだくらいで一緒になったら苦労しないの」


喜んだ自分が馬鹿みたいだ。
タメ息を吐きかけた時、キミの怪しげな顔が目に映った。
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