嘘つきの世界で、たったひとつの希望。
「い、いちゃ駄目な訳!?」


恥ずかしさでいっぱいになって。
半ばキレ気味に正輝に問う。

どうせ、馬鹿にした様にからかってくるんだろうなって思った。
だけど予想外な答えが返って来る。


「駄目じゃないよ。
アンタにはいて欲しい、俺の隣に、ずっと」


深い意味ではない事くらい分かっている。
でも、キミがあまりにも真剣な目つきで言うから。
煩いくらいに心臓が高鳴っていた。


「(傍にいてよ)」


頭に響くキミの声。
それはキミの本音で。
口から出た言葉と変わらなくて。
純粋に嬉しかった。
だから。


「……いる。
正輝の隣に、ずっと」


素直な気持ちを口に出せばスーッと胸が軽くなる。

今まで自分の意見なんてあんまり言ってこなかった。
人の顔色と、心の声ばかりを意識して、無理して人に合わせてきた。

でも、正輝の前では自分を作らなくていい。
素直でいていいんだって思えるから。
私はキミといると本当の自分でいられる。

どんなに苦しい事があっても正輝の笑顔を見たら全てがチャラになる様な、不思議な感じがする。
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