嘘つきの世界で、たったひとつの希望。
「……えっ……今なんて……?」
驚いた、という言葉だけでは片付けられない。
口を閉じるのも忘れて呆然とキミを見つめる。
正輝も多少は驚いている様に見えるけれど、でもどこか少し嬉しそうに見えるのは気のせいだろうか。
「だから、アンタの家の隣、俺の家なの」
見慣れた一軒家の隣を指さすキミ。
我が家でも話題に上がっていたあの新築の一軒家だ。
クリーム色の可愛らしい家。
何かの冗談かと思ったけれど、そんな冗談をキミが言うとは思わないし。
表札には、一ノ瀬と書かれている。
「ほ、本当に……?」
「そうだって言っているでしょ?」
何度も訊いたせいか、呆れた顔をする正輝。
自分でもしつこいと思うけれど仕方がないだろう。
こんな偶然、驚かない方が可笑しいもん。
「で、でも何で!?
あの海まで5時間も掛かるのにわざわざ行くなんて!」
「それは和葉も同じでしょ?」
首を傾げるキミ。
「それはそうなんだけど……」
私にはあそこに行く理由がある。
誰の心の声も届かない、綺麗な世界に行きたい。
あそこは凄く理想の場所だ。
だから何時間を掛けても行くけれど。
正輝はそんな必要ないのに。
疑問に思っていればキミは小さく言葉を零した。
「俺は1人になりたくて」
「え……」
「誰の声も聞きたくないから。
こんなに嘘つきだらけの世界、醜い感情が溢れ出す世界にいたくないし、それを創り出している人間と一緒にいたくないから」
キミの言葉に何も言えなくなった。
言っている事が理解できない訳じゃない。
正輝の言っている事を否定する訳でもない。
私と同じすぎて。
何も言葉が出てこないんだ。
驚いた、という言葉だけでは片付けられない。
口を閉じるのも忘れて呆然とキミを見つめる。
正輝も多少は驚いている様に見えるけれど、でもどこか少し嬉しそうに見えるのは気のせいだろうか。
「だから、アンタの家の隣、俺の家なの」
見慣れた一軒家の隣を指さすキミ。
我が家でも話題に上がっていたあの新築の一軒家だ。
クリーム色の可愛らしい家。
何かの冗談かと思ったけれど、そんな冗談をキミが言うとは思わないし。
表札には、一ノ瀬と書かれている。
「ほ、本当に……?」
「そうだって言っているでしょ?」
何度も訊いたせいか、呆れた顔をする正輝。
自分でもしつこいと思うけれど仕方がないだろう。
こんな偶然、驚かない方が可笑しいもん。
「で、でも何で!?
あの海まで5時間も掛かるのにわざわざ行くなんて!」
「それは和葉も同じでしょ?」
首を傾げるキミ。
「それはそうなんだけど……」
私にはあそこに行く理由がある。
誰の心の声も届かない、綺麗な世界に行きたい。
あそこは凄く理想の場所だ。
だから何時間を掛けても行くけれど。
正輝はそんな必要ないのに。
疑問に思っていればキミは小さく言葉を零した。
「俺は1人になりたくて」
「え……」
「誰の声も聞きたくないから。
こんなに嘘つきだらけの世界、醜い感情が溢れ出す世界にいたくないし、それを創り出している人間と一緒にいたくないから」
キミの言葉に何も言えなくなった。
言っている事が理解できない訳じゃない。
正輝の言っている事を否定する訳でもない。
私と同じすぎて。
何も言葉が出てこないんだ。