蒼き華に龍の口付けを
声はどんどん大きくなる。少年の声が聞こえる。

まさか、『あいつ』か?

ラウリの脳裏にとある人物が浮かぶ。彼が一番煙たがっている人物。
思い出しただけで怒りが込み上げる。八つ当たりで居間の扉を勢い良く開ける。

「あ、どうも。漬物頂いています」

「……」

あの時蒼華に話し掛けていた少年が、漬物を食べて居た。隣には迷い家が嬉しそうな雰囲気で酒を注いでいる。

「来夢かと思ったが、あの時の『小僧』か」

ラウリは蒼華を付け狙う輩では無い事と迷い家が嬉しそうな様子を見て脱力した。

「だがな……」
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