蒼き華に龍の口付けを
ラウリは煙管を袂に納め、要目とちゃぶ台を挟み、正面に座った。

迷い家に酒を渡せと指示をする。
彼女は嫌がる事無く、喜んでお猪口を渡し、酒を注ぐ。

夜空の色をした酒だ。周りは透明なのに奥は何も見えない。

……蒼華には俺がこんな風に見えている。

目覚めた時の蒼華がラウリを見た時を思い出した。しかし、今は物思いに耽っている場合ではないと酒を煽り、本題を切り出す。

「小僧、名を言え」

「僕は要目と申します。名前で呼んで下さい」

ラウリとは対称的な愛想の良い笑顔を浮かべる。しかし、それはどことなく胡散臭い。
ラウリはそうか、と軽い相槌を打ち、さらに質問を重ねる。

「何をしにここへ来た」

「蒼華さんをデートに誘いたくて、許可を取りに参りました」
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