蒼き華に龍の口付けを
要目は夜道を歩きながらスマートフォンをで連絡を取っていた。

「ええ。貴方の仰る通りでしたよ、確かに、蒼華さんに対する執着が異常ですね」

彼は振り返る。ラウリの家と桜の木があるだけだ。
月明かりが家と桜を照らしている。

「え? ラウリさんを『悪く思わないでくれ』? 別に……寧ろ、面白い方だと思っていますよ。ええ、断られましたよ。計画通りですが。……それでは」

スマートフォンをしまい、帰路に歩を進める。

「ラウリさん、蒼華さんの『真実を視て欲しい』僕の名に誓って遂行させて頂きます」

要目の姿は闇に溶け、静寂だけが残った。
< 105 / 111 >

この作品をシェア

pagetop