蒼き華に龍の口付けを
「終わった。着物を着ろ。帯は俺がやる」

「うん。分かった」

私達は作業に取り掛かる。同時にラウリが明日について話し始めた。

「明日は早めに起きて、何をするかを教える。何を売っているかはその時だ」

「今日は?」

「……休め。夕飯はこの後直ぐに用意する。今は何もするな」

ラウリは少し間を開け、答えた。

「うん、分かった。有難う」

「あぁ」

ぐ~ぎゅるる。
不意に私のお腹の中に居る虫が鳴く。二、三日も寝ていたからってこれは恥ずかしい。

「あ、えっと……」

「ああ。別に腹の虫が鳴いたからって恥ずかしがる必要は無い。準備はすぐに出来るから少し待っていろ」

「……」

フォローを入れてくれるのは嬉しいけど、恥ずかしい事に変わりは無い。
帯が終わった途端、私は布団の中に潜り込んだ。

「帯を結んでくれて有難う……」

恥ずかしい気持ちに押し潰され、小さな声で伝えた。

「お前はお礼ばかりだな」

頭まで布団を被っているから表情は分からないけど、笑っているかもしれない。
足音がする。それはどんどん遠ざかり、扉を閉まる音がして消えた。

「準備しに行っちゃった……」

私も手伝いをしに行こうとしたが、布団に引っ付いた様に身体が動かない。
どうして? いくらなんでもおかしすぎる。
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