蒼き華に龍の口付けを
遠くから見ても凄いと感じていたけど、真近だと壮観だ。薔薇や菊、桜などの定番や鶴に亀……他にも蛇、蔦……数え切れない程の生き物が絵描かれている。

「ん?」

外を見るとまだ暗い。昨日、ラウリが教えてくれたっけ。朝、昼、夜は遅れたり、速かったりする。けど戻ることは無いって。

そのお陰で月が動物や花を照らしている様に見える。ここが異世界だと言う事をあらためて実感させられる。

「この中からこれだと思う布を選べ」

「分かった」

これだと思う? 気に入ったものではなくて? ……考えていても仕方ない。選ぼう。

どの布も私を呼んでいる様に思える。『僕にしようよ』『儂が綺麗じゃぞ?』とかみんな自慢げだ。

どれもこれも捨てがたい。同じ位綺麗だし、それぞれの個性がある。
ラウリは黙って付いて来ている。さっきみたいな事を考えると、慌てなくても大丈夫そう。

じっくり見よう。
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