蒼き華に龍の口付けを
帯は初めてとは思えない位綺麗に結べた。ラウリのお陰だ。
あまり考えていなかったけど、どうやって帯を出したのだろうか。もしあの箪笥の付喪神とやらならお疲れ様と労いたい。
今は居間で寛いでいる。ラウリはお茶の準備をしに台所に行ってしまった。

「ん?」

布が揺れている所を見ていると空が茜色に染まっていた。夕暮れより濃い。ここの朝焼けは綺麗。物思いにふけっていた時、視界の端に誰かが座っているのが見えた。

ここはラウリと私しか居ない。だけど、見るしかないと思い切って振り返った。
女性が私の真横に正座していた。

巫女服に艶やかな黒髪をまとめた銀色の菊が綺麗な簪を付けている。
顔はお札に描かれていそうな模様がある半紙のせいで見えない。

「えっ、え!?」

女性は何かを期待している様にそわそわしながら私を見ている。
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