蒼き華に龍の口付けを
「ねぇ。重いだろうし、降ろしても大丈夫だよ?」

「軽い。降ろすのが面倒臭い」

やっぱりね。これ以上降ろしてって頼んでも無理そうだから良いか。

暇だから、周囲を見る。上から見ていたから薄々理解出来ていたけど村だ。
江戸の城下町とそっくりだが、城は無いし、瓦屋根だ。

人は居ない。異形は、居る。

例えば、頭部や手足は黒い牛しかし、二足歩行で着物を着て肉屋で買い物をしている。
単眼のオカッパ少女、少年。顔のない女性。本に出てくる妖の村そのものだ。
しかし、仕草や表情は人間そのものと変わりは無い。
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