蒼き華に龍の口付けを
「買う物は無いな?」

「特に無い。明日も宜しく頼む、蒼華、これから宜しくなっ!」

神様の威厳など感じさせない笑顔だ。私も笑顔でこちらこそ、宜しくお願い致します。と挨拶を返した。

「……もう帰るぞ」

乱暴に腕を掴まれ転びそうになるが、ラウリが受け止めた。
様子が、いや、機嫌が悪い? そうなる理由は無いのに。

お腹に柔らかい衝撃が走る。白音だ。白音が抱き付いてきた。

「人間のご友人しゃま」

「なんですか?」

「明日も来て下さいますか?」彼女は上目遣いをした。不安な顔をしている。

「来ますよ。明日も、その次も……」

「本当にですか!?」

あの顔はどこへやら。明るい笑顔だ。

「はい」

釣られて私も笑う。おもむろに黒露は白音を引き剥がす。

「ほら。帰るのだから、見送る事が出来ないだろ?」

不服そうな表情だけど、はぁいです。と言い、離れた。

「んじゃ。また宜しく」

「雑貨屋しゃま、人間のご友人しゃま、白音は明日も待っているですよ!」

「バイバイ。また明日会おう」

三人は本殿の出入り口で手を振る。これがいつもの事なんだ。ラウリは振り返らず、黙って手を上げた。

私は後ろを見て、手を振り返した。

「有難うございました! 明日も宜しくお願い致します!」








こうして、私達は帰路に付いた。
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