蒼き華に龍の口付けを
【ヤミ】
居間の隅にある行灯(あんどん)にいっぴきの蛾が寄せられて来たが、黒い影が多い被さる。
影が消えた頃には蛾の姿は無かった。
午前二の刻。その光景を横目にラウリは居間で売り上げの集計を終わらせ、蒼華が眠る己の寝室に向かう。
迷い家も眠りについている。彼女の寝床は別の『空間』にある。
「蒼華……」
永く感じる廊下を歩き、本人には言わない名前を呟く。応えは無い。あるのはラウリが歩いて鳴る床の軋みだけ。
黒い、黒い廊下だ。窓が無いから空が明けても変わらない。ガラスの箱に入っている蝋燭が頼りだ。
そろそろ、部屋につく。
影が消えた頃には蛾の姿は無かった。
午前二の刻。その光景を横目にラウリは居間で売り上げの集計を終わらせ、蒼華が眠る己の寝室に向かう。
迷い家も眠りについている。彼女の寝床は別の『空間』にある。
「蒼華……」
永く感じる廊下を歩き、本人には言わない名前を呟く。応えは無い。あるのはラウリが歩いて鳴る床の軋みだけ。
黒い、黒い廊下だ。窓が無いから空が明けても変わらない。ガラスの箱に入っている蝋燭が頼りだ。
そろそろ、部屋につく。