蒼き華に龍の口付けを

蒼華の寝室はラウリの寝室だ。理由は迷い家に負担を掛けさせたくないから。だが、理由はもう一つある。

ラウリが扉を開けると一人用より一、二周り大きい布団の中で眠る蒼華が居た。

「蒼華……」

ラウリは蒼華の眠る布団に入り、愛おしい者を見る目で呼び掛ける。反応は無い。



そっと頬に触れる。見た目以上に柔らかい。それでも、蒼華は起きない。

どうやら、熟睡しているようだな。

蝋燭の明かりに照らされた蒼華は安心した顔をしている。
右腕を彼女の腰に、左腕を後頭部に回し抱き締める。
少しでも力を込めたら折れてしまいそうな細い身体。
風呂に備え付けてある石鹸に混じり、優しい香りになっている。ラウリが一番好きなものだ。