蒼き華に龍の口付けを
少女の額に、頬に口付ける。「んん……」と言っただけで起きる気配は無い。

「誰にも渡さない。離さない」

低い声で独占欲を吐き出す。これを蒼華に言えたらどんなに楽だろうな? わざわざ言うのも面倒だが。フッと笑みを浮かべる。

ラウリは覆い被さった時の蒼華を思い出す。驚きと戸惑いと恐怖が混ざった表情だった。
あの時、そのまま襲っていたらどうなったのだろうか。そんな事を考える。

泣き叫んで、嫌がって―――……。

ドンドンと外と中の出入口が叩かれる。こんな夜分に来るのは大体決まっている。

行きたくはないが、拒否をすれば面倒事が増える。ラウリは渋々起き上がり、邪魔者へ会いに向かった。
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