蒼き華に龍の口付けを
「蒼華は俺だけを見ていれば良い。お前達はオマケの存在だ」

「うわっ、正気かよ」

こんな事を言って怒らないのは四季神位だ。怖いと言っているもののその様子は微塵たりとも感じない。

「殺らないだけマシだろうに。俺にとっては簡単な事だ」

「あー……お前の能力を考えれば否定出来ない。けど、『上』は許してくれないだろうな」

まぁ、そうだな。ラウリもお酒が回ってきたのかいつの間にか上機嫌になっている。

四季神は蒼華が眠る二階に目を向ける。

「そろそろ帰るぜ。七無にバレる……そうだ、蒼華の所へ行って『視て』来いよ」

向かい側に座るラウリに面白いものを見つけたと言わんばかりのテンションで教える。

「何がある?」

「知らね。んじゃあな」

居間に強い風が吹き荒れる。ラウリはその強風に耐えられず目を瞑る。

目を開けられる位に治まると、四季神の姿は無かった。
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