蒼き華に龍の口付けを
「はーい、どなたですかぁ?」

おっとりとした女性の声が返って来た。おかしい、あの妖の声は確実に男の声だった。
え、じゃあ、これは何なの?

「あ、えと、私は蒼華と言う者ですが……」

「蒼華? あっ、ライムさんが言っていた人ですね」

いや、そんなフレッシュな名前の知り合いは居ない。私が会いたいのは”ユメライ”と言う妖だ。
私が間違いを指摘しようとした時、あの声が聞こえてきた。

「リゼリア。俺に変わってくれ」

「え? ライムさんが言うなら良いですよ」

声は同じだけど口調が全く違う。と思った矢先、家のドアが開いた。
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