蒼き華に龍の口付けを
「はっはっはっ、若いと言うのは羨ましいですな。それでは、こちらから」

相手は下から大きなトランクを出す。この世界で見るのは初めて。

「……」

私は顔も知らない両親に考えを馳せる。……今頃私はどうなっているのかな? 私の親は探して居るのだろう? それとも……。

「……華……蒼華?」

ラウリの顔が近い。別に慣れているから驚く事は無い。さっきから呼ばれていたのに気付かなかった。一つの事にしか集中出来ない。私の悪い癖。

「ご、ごめんなさい。どうかしたの?」

「どうかもそうかも無い。この中から欲しい物はあるかとさっきから呼びかけていたのだが」


テーブルの上に目をやる。そこには様々な装飾品、置物、雑貨が詰まっていた。
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