おためしシンデレラ
「クリニック?すこぶる元気やぞ」
「そろそろ春に向けて花粉症の薬を飲んだ方がよろしいかと」
「ああ、そうか」
「はい。4時にあおば銀行の融資部長がいらっしゃるのでその前に」
「マメ」
「はい?」
「お前、オカンみたいやな」
「アラフォーのひねた息子なんて要りませんよ」
「ひねてて悪かったな」
「自覚があるならちょっとは直してください」
「気が向いたらな」
高笑いと共に今度こそ三村がドアの向こうに消えた。
オカンやと?
体調管理くらい自分でやったらいいのに、忙しさにかまけて放ったらかしにするから・・・・・。
三村に付き合っていると莉子が定時に帰れることは稀だ。
莉子は一日仕事が終わるとグッタリするのに、その後デートに出掛けていく三村が信じられない。
体力底無し・・・・・いや性欲なのか・・・・・?
「豆田くん、話って?」
ピシッと少しの乱れもなく整髪料で整えられた頭、メタルフレームのメガネが似合う知的な雰囲気。