おためしシンデレラ
秘書の後悔
朝方、莉子の頬をするりと撫でて三村がベッドを出ていったのは薄らと覚えている。
そうだ、今日はゴルフが予定に入っていた。
殆ど眠っていないのに大丈夫だろうか・・・・・。
時計に目をやると10時過ぎ。
自分だけ惰眠を貪ったようだ。
ベッドからゆるゆると起き上がると、下半身に痛みがはしる。
サイドテーブルには避妊具の箱。
ちゃんと気をつけてくれていた。
流石場数を踏んでいるだけある。結婚を期待させないように、いつもそういったことには万全を期しているのだろう。
申し訳ないことをした。
秘書と一線を越えるなんていちばん三村がしたくないことだっただろうに。
悪いのは全て自分だと莉子は自覚している。このせいで秘書からはずされても仕方がない。
そういえば新しく来る人がいると穂村から聞かされているし、その人が仕事に慣れた頃に部署替えを願い出てもいいかもしれない。
ベッドからゆっくりと出る。
今日は家に帰らないと。
莉子の知らないうちに三村が自分のパジャマの上だけを着せてくれていた。