おためしシンデレラ


秘書課長の穂村はいつも優しい。

多分に社長付きにしてしまって申し訳ないと莉子に思っているせいだろうが。

「わたしの代役ができる人、何とかしてください。このままやとわたし社長がお休みのとき以外に休みがとれません」

「うーん・・・・・だよねぇ。考えてはいるんやけどなぁ」

困ったような顔で穂村が笑う。

「わたしだってずっと会社にいるとは限らないですよ」

「え?なんかそんな予定でもあるの?」

勢いこんで聞いてくる穂村に莉子が大仰に息を吐いてみせる。

「課長、わたし28ですよ?適齢期です。明日お嫁にいってもおかしくないんですから」

「・・・・・もっともだね」

穂村がメガネのブリッジを人差し指で押して同意を示した。

「あのですね、わたし人より少し見た目が可哀想なんですよ。だからね、婚活もそろそろ真剣に始めないとヤバイんですって。そのためにも有休使いたいし、たまには定時に帰って合コンとか行きたいです!」

「見た目が可哀想なんてそんなことはーーー」
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