おためしシンデレラ


気怠い身体を叱咤して、最後の家事を済ませてから荷物をまとめる。

本来なら三村を待って、挨拶をして鍵を返してから出ていくべきなのは分かっている。

けれど今の莉子にはそんな勇気が出なかった。

『お世話になりました。鍵は月曜日に会社でお返しします。 豆田』

手紙をダイニングテーブルに置いておく。

お昼を少し過ぎた頃、莉子がキャリーバッグを持って三村の部屋を後にした。

エントランスを出るときに、そこに小林がいないことに少しの安堵を覚える。恐らくは解雇されたのだろう。


身体が辛く、贅沢だとは思ったけれどマンションの前でタクシーに乗り込む。


1ヵ月ぶりに帰ってきた自分の部屋で、莉子は掃除もそこそこに食事も満足に取らず月曜日の朝までひたすら眠って過ごした。

疲れと、自己嫌悪。

月曜日に三村に謝らなければ・・・・・ただ頭の中にはその思いだけだった。



月曜日の朝、出勤前に土曜日に三村の家を出てからずっと切ったままだったスマホの電源を入れる。

何十件もの不在着信。
全て三村からのもの。
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