おためしシンデレラ


「川縁で倒れたときオレ家族といてね、別に重篤な症状やなさそうやし取り敢えずウチに運んだんやけど気分どう?」

「あ・・・・・大丈夫です。お手数をおかけして・・・・・」

そら良かったと医師が笑う。
確か志信と呼ばれていたかと莉子が思い出した。

「このバカ置いとくけどいい?なんか喋りたいみたいやし。嫌やったら処分するけど」

「人をゴミみたいに言うな!」

「和生、今日はウチ休診日やから好きなだけおってもええけど神聖な診察室で猥褻行為は禁止やからな」

「やかましい!早よあっち行け!」

志信がヒラヒラと手を振りながら部屋を出ていく。

莉子はどうやら診察室のベッドに寝かされていたらしい。

扉が閉まると気まずい沈黙がおりてくる。気まずいのは主に莉子だけれど。

「・・・・・すいませんでした」

いたたまれなくなった莉子が口を開いた。

近くの椅子を引き寄せ、腕組みをして座る三村はにこりともしない。

「・・・・・・・・・・オレに報告があるやろ」

ベッドの上で身を起こした莉子の背中が強ばる。

「・・・・・特には」
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