おためしシンデレラ
「マメ!!」
自分を呼ぶ怒りを含んだ硬質な声。
妊娠が三村にバレているのか、ただ単に勝手に仕事を辞めたことを怒っているのかがはっきりしないので莉子はうっかり話すことができなかった。
「・・・・・・・・・・えっと、帰り、ます・・・・・」
身体の向きを変えてベッドから足を下ろす。
爪先が床につくかつかないかくらいで、三村が急に立ち上がり莉子を抱き上げた。
「し・・・・・社長・・・・・!」
「すっかり軽くなりやがって」
舌打ちとともに三村が吐き捨てる。
莉子をベッドに戻し、自分はまた椅子に座って莉子の正面に陣取った。
「言え!」
「だから何もないって・・・・・!」
「何も無いわけないやろ!妊娠したって何で言わへん!?」
三村が厳しい顔を見せる。
「ど、・・・・・どうして・・・・・?」
「結婚するとか下手な嘘ついてどうするつもりやった?」
「・・・・・・・・・・・・・・・嘘って」
「オレの子やろ。言わへんつもりやったみたいやな」
「あの・・・・・別にお金とか要求するつもりもないし・・・・・その、1人で大丈夫なので・・・・・」