おためしシンデレラ
「・・・・・はっ!?」
「だって、だって結婚前に隠し子なんていくら真歩さんだって嫌がります!折角の結婚話が壊れたら・・・・・わたし責任取れないです!」
「・・・・・真歩と結婚?」
「穂村課長が・・・・・・・・・・それに真歩さんと一緒にマンションに入って行くのも見て・・・・・」
三村がガリガリと頭を掻きむしった。
苛立ちが莉子にも伝わってくる。
どう言ってあげたら三村の心が軽くなるのかがわからない。
「もうええ」
分かってもらえたのだろうか。
今度こそベッドから下りて帰ろうとした莉子を長い腕が絡め取り、また抱き上げられた。
椅子に座る三村の膝の上に向かい合わせで拘束される。
「・・・・・し・・・・・社長・・・・・?」
膝を開いて三村の太腿を跨いでワンピースの裾が上がるのを莉子が慌てて手で直した。
「莉子」
三村が真っ直ぐに莉子の目を見て呼ぶ。
莉子の瞳に再びぶわりと水分が盛り上がり、やがて頬を伝って顎先から落ちる。
どうして・・・・・?
いつもマメって呼ぶのに・・・・・。
「頼むからオレの前から消えるな」
両手を莉子の腰に回し、三村の額が莉子の額につけられた。
「頼むからーー1人で何でも決心して1人で何でもやろうとすんな。妊娠を言わないとか有り得へんやろ」