おためしシンデレラ
莉子の涙がパタパタと胸元に落ちる。
「でも・・・・・社長・・・・・困る・・・・・と思って・・・・・あの日、わたしが頼んで・・・・・無理に抱いてもらったのに・・・・・」
フッと三村が目を細めて、莉子の頬に唇をつける。
「ーーーー無理と違う。お前が愛しくて、お前の初めての男になりたくて、お前の辛さにつけ込んだんや、オレは」
徐々に移動してきた三村の唇が莉子の唇に重なる。
「秘書と・・・・・は恋愛しないって・・・・・」
泣きながら切れ切れに言葉を紡ぐ莉子を三村が腰に回した手を動かしその腕の中に柔らかく閉じ込めた。
三村の肩に莉子の涙が染み込んでいく。
「・・・・・せやな、確かにそう言った」
三村が莉子の耳元で低く呟いて、莉子の猫っ毛に頬をつけた。
「・・・・・けど淋しかった」
三村の吐息が近い。
「同居を解消した後、家に帰ってお前の『おかえりなさい』がなくて淋しかった。パタパタとハムスターみたいに動き回るお前の気配がなくて淋しかった」
ーーーーー都合のいい空耳だと莉子は思った。
これではまるで・・・・・・・・・・。
「お前が居てないと、オレはダメみたいや」