おためしシンデレラ
秘書は策士
ジャケットの内ポケットでスマホが震えた。
取り出して新着のメッセージを読む。
『捕獲』
たった一言。
やれやれと穂村が溜息をついた。
30を過ぎて、アラフォーと呼ばれる歳になっても遊びたい放題の三村に焦れたのは三村の父親である会長だ。
「孫が抱きたい!穂村、なんとかしろ!」
ホントに親子揃って人使いが荒い。
あれだけ浮名を流していて、隠し子の1人もいてないのかと聞いたら、そんなヘマするかと返された。
3年ほど前、秘書を豆田くんにしたのはただ単に和生の周りにいなさそうなタイプを選んだだけ。
いつもモデルのように綺麗な女性ばかり傍に置いているけど、親しみやすい可愛いさっていうのもええやろと思って。
豆田くんは掘り出し物だった。
打てば響くような賢さ、気配り、何より和生の扱いが抜群に上手い。
豆田くんのお見合いをぶち壊したと聞いて、これはイケるかもと期待した。
その後何故か1ヵ月の間、同居すると聞いて小躍りした。