おためしシンデレラ
少し苦しめ。
自分の愚かさを思い知れ。
真歩が泣きついてきた。
「あんな機嫌の悪い男、一緒に仕事なんてできないわよ!!」
豆田くんの失踪から2週間余り、和生のイライラは頂点だ。
そろそろ豆田くんの居場所を教えてやるかと社長室に赴く。ちゃんと人を使って調べてあるし。
ノックをして部屋に入ると和生にジロリと睨まれた。
「呼んでへんぞ、穂村」
「機嫌悪いな、真歩が一緒に仕事すんの嫌やて言うてるぞ」
「なら辞めろ、タイの現地法人で雇う話もナシだって言え」
子供か。
思った以上にやさぐれている。
「あのな、和生ーーーー」
言いかけたところで和生のスマホが鳴った。
ダルそうにスマホを出した和生が一瞬怪訝な顔をした。
「ーーーもしもし?なんや、志信、珍しいな」
どうやらプライベートの電話らしい。
和生の顔が驚きに染まる。
「志信!そのまま縛ってもええから引き止めといてくれ!すぐ行く!」
通話を終えた和生が慌てて椅子から立ち上がり今日のこれからの仕事を全部キャンセルしとけと言い捨てて部屋を出て行った。