おためしシンデレラ


「おや、社長。豆ちゃんのお見合いが気になって見に来た?」

にこやかに出っ張ったお腹を揺らしながら常務が余計なことを言う。


「見合い・・・・・?」


莉子が感じる30センチ上からの冷たい視線は決して気の所為ではない。

そうっと目線を上げると三村の眇めた目とマトモにぶつかった。


「し・・・・・社長!どうぞお帰りください。昨夜から色々色々色々お疲れでしょうしっ」

「いやいや、大事な秘書の見合いやし、ぜひとも相手を一目拝ませていただこう」


面白がってる。

絶対にこの男は面白がってる。


もう莉子は嫌な予感しかしない。




絶対にこのお見合いは失敗だーーー莉子のそれは予感ではなく確信だった。
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