おためしシンデレラ
田中さんの柔らかな微笑が苦笑へと変わる。
「接するのは理系の女子ばかりで僕より優秀な研究者もいますし仕事も出来るので尊敬もしますが、恋愛対象と言うよりはライバルであって・・・・・。結婚しても仕事を続けるのが大半ですし。僕は家事もできませんし普通に子供も欲しいですし、家庭的な方がいいなと」
ん?
つまりそれは・・・・・
「・・・・・結婚したら家庭に入ってくれる人がいいと?」
社長が莉子が言おうとしたことを代弁してくれる。
「そうですね。セレブにはしてあげられませんがそれなりの生活を送らせてあげることはできると思います」
専業主婦かあ・・・・・。
今現在有休もままならない莉子にはなんだか羨ましい存在だ。
そんなことを考えていたら、何故だか隣から発される空気が剣呑になり腕を引っ張られて立ち上がらされた。
「マメ、帰るぞ」
「はあーーーーーっっっ!??」
「専業主婦なんかになったら仕事辞めなあかんやろが!」
辞めて家庭に入るから専業主婦なんでしょうよ。
ってかなんでアンタがわたしの見合いを断る!?と言えない間に腕を掴む手が腰に回され、莉子は半分抱えられるような形で三村とホテルのロビーを横切っていく。