おためしシンデレラ


「悲しいくらいモテないんですよねぇ〜」

「ほうか?」

「はい」

真野が可笑しそうに莉子を見て肩を竦める。

「妊娠させてくれそうな絶倫男は傍にいるのになあ」



絶倫・・・・・て。




「先生、妊娠だけしてその後どうするんですか。いくら生理痛が治るからって、妊娠するならちゃんと責任取ってくれる男がいいです」

「確かにな」

莉子には笑えない冗談を真野は高らかに笑い飛ばした。

大体、あの選り取りみどりの男がわたしなんかを抱く理由がないと莉子は思う。3年の間に何度かは三村の彼女と名乗る女性を見てきたけれど、揃ってスレンダーな美人だった。

敢えて莉子を抱くならそれは毛色の違ったのを抱いてみたいという好奇心か怖いもの見たさかのどちらかだろう。


『生理休暇ください』と『抱いてください』、どちらも同列で叶う気がしない。

こんなことを考えるなんて少し疲れているのかもと莉子はオフィスに戻った。

社長室のドアをノックすると、社長は不在。

会議、長引くのだろうか?


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