おためしシンデレラ


顔色があまり良くない。

莉子が当たり前のように毎日の三村の体調の好調不調に気付くように、三村とて莉子の体調の不具合はすぐに気付く。

ましてやそれが定期的だとすれば尚更だ。

それが女性特有のものだということに考えが至らないほど鈍くもない。

青い顔して、おそらく薬で抑えて頑張っていることくらい百も承知だ。

それでも莉子が弱音を吐かないから、平気なフリをするから、三村は莉子に甘えてしまっていた。


あれは莉子が秘書になりたての頃だったかーーーー。



目の前には顔色を無くした莉子。

デスクに座り足を組み、腕組みをした三村が莉子を睨めつける。

「お前の大事な仕事はオレのスケジュール管理だということは知っているか?」

下唇をキュッと噛み、目線は爪先に向けている。

莉子は今日、取引先との約束と社内会議をダブルブッキングした。

「申し訳・・・・・ありませんでした。予定を入れたときに体調が悪くてつい・・・・・」
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